About us

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻櫻井研究室では、重イオン核反応を用いて不安定核のビームを生成し、安定線から遠く離れたエキゾチック原子核の特異な性質・現象を調べています。研究テーマは,(1)高速RIビームを用いた新手法の開発による不安定核の核構造、ダイナミクスの研究、(2)RIビーム開発と核存在限界の探索、(3)重イオン核反応の反応機構、等です。実験は主に理化学研究所加速器研究施設・不安定核ビーム生成装置を用いて行っています。現在研究室で進めている研究内容の詳細は、研究紹介をご覧ください。

研究室の目標と信条

私たちの目標は、自由な発想で新しい研究の切り口や方法論を開拓していくことです。その中で解くべき課題をはっきりと定義し、その道筋を入念に探ることで最終目標への道を切り開いてゆきます。私たちは様々な研究者との議論を通してベストな解を見出し、さらに必要とあらば新たに実験道具を製作・利用するというスタイルをとります。

普段の研究生活

普段は、本郷キャンパスの理学部1号館3階の研究室で、実験装置の開発、実験データ解析、論文執筆などをしています。居室や実験室はNEXグループのメンバーと共用です。ほぼ毎週の研究室ミーティングで、メンバーの研究を報告して議論するほか、有志で勉強会を開いています。また、定期的にNEXグループでセミナーやコロキウムを開いています。

研究テーマと共同研究

大学院生は、それぞれ独立した研究テーマについて国内外の研究室とコラボレーションを形成して研究をしています。テーマによりますが、10-50人程度の共同研究チームで研究します。特に、櫻井教授は仁科加速器研究センターの主任研究員(櫻井RI物理研究室)も兼任しており、本研究室と互いに協力しつつ研究を行っています。

実験

実験は主に理化学研究所の加速器施設で行っています。また、研究テーマによっては他の国内外の加速器施設で実験を行うこともあります。実験は年に2,3回ほど、期間はおよそ1,2週間です。実験前後の準備や片付けを含めると、1ヵ月ほどは共同研究グループが一丸となって実験にかかりきりとなります。加速器を用いた研究をしているため、ビームが出ている期間は24時間体制で、参加者全員が交代制でシフトをとり実験を行います。

学会・研究会

年に2回開催される日本物理学会の年次大会および秋季大会のほか、国内外の様々な研究会・学会等で研究成果を報告しています。

研究室見学

進学先として興味を持った学生は、是非研究室に見学に来てください。居室は理学部1号館の3階にあります。櫻井教授(居室312号室)とお話しをしたい時は事前にメールで連絡をください。あまり居室にはいません。研究室訪問(居室305b,307,308号室)はアポなしでも構いません。大抵誰かいます。また、事前に連絡をいただければ、私たちが普段実験をしている理化学研究所の加速器施設の見学もすることが出来ます。


Research

櫻井研では、各メンバーがそれぞれの研究テーマで研究をしています。研究内容は多岐にわたり、それぞれが自分の共同研究グループのなかで研究を進めています。このほか、他研究室が主催する共同研究にも多く参加していますが、ここでは櫻井研が主体となって進めている研究テーマの一部を紹介します。研究内容の詳細は、物理学教室で毎年発行している年次報告書も合わせてご覧ください。

インビームガンマ線核分光による不安定核構造研究

我々は、RIBFで得られる高強度不安定核を用いたインビームガンマ線核分光を通じて、陽子・中性子比率が安定核とは極端に異なる原子核の構造の異常性を研究しています。SEASTAR国際共同実験(Shell Evolution And Search for Two-plus energies At RIBF)は、極めて中性子過剰な原子核の励起エネルギーを体系的に測定することを目的とした共同研究グループで、櫻井研究室もこの共同研究の主要メンバーとして参加しています。これまでに2014年5月と2015年5月と二回実験を行い、世界で誰も到達したことのない多くの中性子過剰核の励起準位測定に成功しています。

SEASTARでは、RIBFの世界でも類を見ない高強度の不安定核ビームに加えて、高いルミノシティーを得るための厚い液体標的システムMINOSと高検出効率なガンマ線検出器DALIを用いています。MINOSは、核反応が起きた位置を正確に知るためのTPC軌跡検出器を持ち飛行中の原子核から放出されるガンマ線のドップラーシフト効果を正確に補正することができます。

ベータ崩壊核分光による不安定核構造研究

ベータ崩壊はその機構がよく知られているため、崩壊の始状態・終状態を知るための優れた手法です。また、中性子過剰な不安定核は一定時間後には必ずベータ崩壊によって娘核、孫核へと変化し安定核に至るため、ベータ崩壊を用いた核分光は、すべての不安定核研究に適応できる汎用性をもち、かつ二次反応を用いた核分光法に比べきわめて効率のよい実験手段です。EURICAプロジェクトはこのベータ崩壊核分光を様々な原子核で体系的に行うために組織された国際共同研究です。

EURICAで使用する装置は、欧州ガンマ線検出器委員会が管理する世界最高性能のゲルマニウムガンマ線検出器EuroBallと、櫻井研究室や理化学研究所が開発したシリコン荷電粒子検出器WASABiです。2つの最先端測定器とRIBFの持つ大強度不安定核ビームにより、これまでに10以上の原子核において新たにベータ崩壊の半減期測定に成功し、宇宙における元素合成のメカニズム解明に一歩近づくことができました。

不変質量法による中性子過剰核のクラスター構造研究

原子核の構造は、一般的には構成する陽子と中性子を最小単位としてその相互作用や殻模型配位から理解されることが多いですが、陽子2個と中性子2個からなるヘリウム原子核(アルファ粒子)を構成単位として理解するほうがよい状態を持つことがあります。このような励起準位の構造を(アルファ)クラスター構造と呼びます。例えば12Cには三つのアルファ粒子がガス状にゆるく束縛したクラスター構造が存在します(ホイル状態)。このホイル状態は、アルファ粒子三つが合成して炭素より重い原子核を生成する元素合成過程において重要な役割を果たすことが知られています

中性子過剰核では、余剰中性子が加わることによって原子核全体が幾何学的構造を持ち、ホイル状態のようなガス状とは異なったクラスター構造を持つことがが予想されています。16Cは3つのアルファ粒子が直鎖状や三角形を形作ったクラスター励起準位を持つと予想されています。我々は、この16Cの不思議な幾何構造を持つクラスター状態の探査をRIBFで行いました。一般的にクラスター構造は粒子崩壊閾値よりも高いエネルギーを持つことが多いため、崩壊粒子を全て測定できるSAMURAIスペクトルメーターを使って不変質量法により励起準位測定を行いました。不変質量法とは、全ての崩壊粒子の4元運動量測定から励起準位を再構成する手法です。現在もデータの解析中ですが、すでに直鎖状構造を持つ可能性がある励起準位の同定に成功しています。


Member

現在櫻井研は、教授1名、助教1名、大学院生6名のメンバーで活動しています。メンバーの居室や実験室は理学部一号館の3階にあり、NEXグループと共有しています。メールアドレスは後ろにs.u-tokyo.ac.jpをつけてください。人によってドメインが違います。

現在の構成員

櫻井博儀
SAKURAI Hiroyoshi

教授 | Professor

Room: 312

sakurai@phys.

03-5841-4237

新倉潤
NIIKURA Megumi

助教 | Assisant Professor

Room: 308

niikura@nucl.phys.

03-5841-4236

谷内稜
TANIUCHI Ryo

D3, JSPS DC1 fellow

Room: 307

taniuchi@nucl.phys.

松井圭司
MATSUI Keishi

D3, RIKEN JRA

Room: 305b

matsui@nucl.phys.

籾山悟至
MOMIYAMA Satoru

D2, JSPS DC1 fellow

Room: 308

momiyama@nucl.phys.

小山俊平
KOYAMA Shunpei

D1, JSPS DC1 fellow

Room: 307

koyama@nucl.phys.

斎藤岳志
SAITO Takeshi

M2, ALPS fellow

Room: 307

saito@nex.phys.

長峰駿介
NAGAMINE Shunsuke

M2

Room: 308

nagamine@nex.phys.

卒業生

現在の櫻井研は、理学系研究科物理学専攻の第3期櫻井研となります。第1期は2000年から2005年櫻井助教授時代で、8名の博士号取得者を輩出しています。2005年に理化学研究所の主任研究員となり、理学系研究科の連携講座を担当していました。現在の第3期櫻井研は、2011年に理学系研究科の教授に着任してスタートしました。

名前 所属年度 現在の所属・就職先
今井伸明 1998-2003年 (修士・博士) 東京大学理学系研究科原子核研究センター(CNS) 准教授
王恵仁 2002-2006年 (修士・博士) 大阪大学核物理研究センター(RCNP) 特任講師
大西健夫 2002-2007年 (修士・博士) NEC
鈴木賢 2002-2007年 (修士・博士) 東芝ソリューション
市川雄一 2003-2007年 (修士・博士) 理化学研究所仁科センター 上野核分光研究室 研究員
鈴木宏 2003-2007年 (修士・博士) 理化学研究所仁科センター RIビーム生成分離装置チーム 特別研究員
鈴木大介 2004-2009年 (修士・博士) 理化学研究所仁科センター 櫻井RI物理研究室 研究員
中尾太郎 2004-2011年 (修士・博士) 東京大学理学系研究科原子核科学研究センター 特任研究員
木村仁美 2006-2007年 (修士) 環境省
白木章雄 2006-2007年 (修士) 日立製作所
徐 正宇 2011-2013年 (博士) University of Leuven, post-doc
小林信之 2013-2014年 (JSPS PD) 大阪大学核物理研究センター(RCNP) 特任助教
宮﨑卓也 2013-2014年 (修士) 就職